英語学習を始めた理由
私(当教室講師)は 33歳の時にゼロから英語を学び始め、39歳の時に英語講師になりました。
英語学習を始めたのは2児を子育て中の専業主婦をしている時でした。
今から30年近くも前のことですから、‘女性は結婚したら家庭に入る’ のがまだまだ珍しくない時代でした。
しかし、人にはそれぞれタイプというものがあります。
私は妻・母として以外に、もっと自己表現したい、社会に出て働きたい、という気持ちが強いタイプでした。
しかし諸事情から、結婚退職して子育てに専念することになったのですが、自分の性に合わない専業主婦としての毎日に強い苛立ちを感じていました。
そこで、そんな状況を打開するために、何か新しい事に挑戦してみようと思ったのです。
当時は子どもが小さかったことに加えて、夫の仕事の関係上、1~3年ごとに引っ越しをしていましたので、できることには限りがありました。
そんな中でも、英語だったら、子育ての合間に自分のペースで自宅でも取り組めます。また、中学時代に英語が好きだったことも始める動機の一つになりました。
学ぶ立場から教える立場に
こうして英語学習を始めたわけですが、私の場合は最初から ‘英語を使って仕事をしたい’ と思っていましたので、かなり真剣に取り組みました。
最初は独学で、その後、独学プラス英会話スクールに通いながら学習し、数年後には家族とともに約1年間カナダのトロントで生活する機会にも恵まれました。
そして帰国後すぐに、念願だった英語講師としての職に就くことができました。
最初の7, 8年は英会話スクールや複数の学習塾に勤務して、英会話から受験まで、子どもから大人までと、さまざまな形の英語指導を経験しました。
しかし次第に、もっと自分の個性を活かした働き方をしたくなり、結局独立して個人で英語教室を始めました。
- 私のように ‘人生をやり直そう’ とする人たちを応援していきたい
- 独学する過程で試行錯誤しながら身につけたさまざまな英語学習方法を、ひとりひとりのニーズに合わせて提供していきたい
そんな思いを抱いていました。
ずっと大切にしてきたこと
また、もう一つ、いつも心の中で思ってきたことがあります。
それは、
- ひとりひとりの個性や人間性を最大限に尊重する
ということでした。
英語とは直接関係のないことですが、これは、これまで長きにわたり、私が最も大切にしてきたことです。
なぜかと言いますと、
私自身が、自分の個性を大切にすることができずに長い間苦しんできたからです。
私は世間一般で言うところの ‘普通’ に属さない要素をたくさん持っているタイプだと思います。
そんな自分をそのまま認め、自分らしく生きてこられればよかったのですが、実際には、のけ者にされることを恐れて、ずっと自分自身を押し殺し、周りに同調しながら生きてきました。
責任は自分自身にありますが、いったん ‘普通’ という枠組みから外れると、排除され、居場所がなくなってしまうような、これまでの社会的&時代的な背景も少なからず影響していたとは思います。
いずれにせよ、本来の自分自身をなおざりにしたまま、ずっと周りに合わせ、振り回されながら生きてきたわけです。
その結果、何をやってもうまくいきませんでしたし、‘自分らしく生きていない’ というフラストレーションを常に抱え続け、いつもモヤモヤしていて心が晴れない、身も心も重い、体調が優れない…、そんな状態を何十年と続けてきました。
こうした体験を通して、
- 本当の意味での幸せは、‘本来の自分をおろそかにせずに、自分らしく生きていく’ ことによってしか生まれない
ということを、身をもって学んできたのだと思います。
そんなことから、当教室で英語を学ぶ方々には、もともと備わっているその人本来の個性を大切にしながら取り組んでいただけるようにと、私なりに工夫をしながら10年ほど英語教室を続けていました。
再び振り出しに
しかし、3年前には教室をいったん閉じることになります。それは、なかなか思い描いていたような教室作りができなかったからです。
休業以前も現在と同じように、子どもから大人までを対象に、幅広い内容の英語を扱いながら、個々の要望に沿って完全オーダーメイドで授業をする個人レッスンをおこなっていました。
ただ、当時は学生や受験生が大半だったため、受験や資格試験対策用の英語も取り扱っていた点が今とは大きく異なります。
その当時の学生や受験生の皆さんも ‘個性重視の英語学習’ に惹かれて当教室に通っていたのだと思いますが、生徒さんたちの一番の目的は、あくまでも、成績を上げることや入試や資格試験に合格することでしたので、その目的を達成できる範囲内での個性の尊重を求めているにすぎませんでした。
つまり、画一的な英語学習の中における非常に限られた範囲内での個性重視であり、本当の意味での個性重視の学習にはならなかったのです。
そんな状態でいることへの違和感はあったものの、そうかと言って ‘受験や競争に勝つための英語学習’ をまったく扱わずに教室運営をすることは現実的に難しかったので、結局流されるがままに非常に中途半端な状態で仕事を続けていました。
そうこうするうちに、家庭内の事情とともに自分自身の体調面の不安も大きくなっていったので、もう限界かな…と思い、少し仕事を休み、いろいろなことを見直してみることにしたのです。
本来目指していた方向からどんどんズレていく状況を、どこかで解消する必要性があったのだと思います。
ゼロから新たなスタートへ
教室を休業した当時、私はすでに五十代後半になっていましたので、年齢のことを考えると一刻も早く教室を再開したかったのですが、実際には3年以上もの歳月を費やしてしまいました。
そもそも、ひとりひとりを大切にする個性重視の学習と、受験などの他者との競争に勝つための学習という、相反する二つの学習を両立させることなど無理なことだったのですが、私の中に、英語塾・英語教室とはこういうもの、という既成概念が根深くあったことや、従来の形から外れたやり方をしても受け入れてもらえないのではないか、やっていかれないのではないか、という恐れや不安を強く持っていたので、本来目指していたことを素直に実行していくことができずにいたのです。
そんな自分の中にある矛盾やズレに気づき、それを修正して、恐れや不安を少しでも手放していくため、また、あらゆる事はすべてつながっていますので、教室のあり方についてだけでなく、そのほかの事柄についても、いろいろ見直さなければならないことがたくさんあり、時間がかかってしまいました。
それでも、今ようやく、スタート地点にまでたどり着くことができました。
今でも恐れ・不安・迷いと向き合いながらの毎日ですが、少しずつでも前進していこうと思っています。
英語学習から新しい人生を
最後に、ここまでお読みくださった皆様へ
人生は、年齢・立場・過去や現在の状況に関係なく、いつでも、どこからでも、やり直していくことができる、と私は信じています。
私自身、30歳を過ぎてから英語を学び始めましたし、還暦を迎える今年、再度人生を作り直していこうと、また新たな挑戦を始めるところです。
新しい可能性の芽は、どこに転がっているかわかりません。
なぜか心が惹かれる、引きつけられる、と感じるところに、その芽が隠されているかもしれません。
その興味を追求していくことで、今まで気づけなかった ‘自分の得意’ や ‘新しい可能性’ が見えてくる場合もあると思います。
もしも英語に興味があるのなら、英語学習から、可能性の芽を探してみる方法もあると思います。
自らの心に従い、英語を自由に学んでいくことによって、興味がさらなる興味を呼び、英語以外の興味へと発展していくなど、その可能性は、思いもしなかった方向へとつながっていく場合もあるかもしれません。
そして、現在なんらかの生きづらさを抱えている方々へ
なんとか人生を変えたいと、私は30年近く前に英語学習を始めました。
今振り返ってみると、英語を学び、英語を教えることによって私は救われてきたような気がします。
英語がこれまでの私の人生を支えてきてくれました。
もしかしたら、英語を学ぶという、これまでとは違う新しい世界を持つことで、私のように、心が救われていく場合があるかもしれませんし、人生を変えるための一つのきっかけになっていくかもしれません。
2024年 春&秋
中川英語アカデミー 講師 中川久恵
講師プロフィール
中川英語アカデミー 講師
中川 久恵
長野県上田市出身
講師略歴
大学卒業後、長野県内の公立高校に 「家庭科教師」 として勤務する。
結婚退職後、専業主婦として一男一女の子育てをしながら、独学で英語学習を開始する。途中から英会話スクールにも通い英語を学ぶ。学習開始から数年後の2003年、家族とともにカナダのトロントに一年間在住する。
帰国後、英検準1級・TOEICスコア865を取得。
2004年から英会話スクールで英会話講師として勤務する。幼児~学生~大人までを対象に、英会話クラス・TOEICクラスを担当。その後学習塾に移り、幼稚園生・小学生・中学生を対象に、英会話指導と英語の受験指導をする。
2011年、独立して個人で英語を教え始める。幼児、小・中・高校生、受験生、大学生、社会人を対象に、子供英語・学校英語・高校受験・大学受験・英検・TOEIC・その他、英語兼英会話指導をおこなう。
2020年春、新規生徒募集を一旦中止する。2021年春、教室を完全休業する。
業務内容の抜本的な見直しとともに、娘のひきこもり、家族の病気療養、自身の体調不良が重なり、長期休業となる。
2024年春、教室再開。
2024年秋、悩み相談・人生相談室 「なかがわ相談室」 開設。