写真は、この春中学生になった、ある小学6年生の男の子が使っていた学習教材の一部です。
この男の子は、以前から英語を学習していましたが、6年生になってしばらく経った頃から、辞書学習も取り入れて授業をするようになりました。当塾では、生徒さんの様子を見ながら、小学6年生前後から、少しずつ辞書を使った英語学習を促していきます。(教室には辞書を何冊か常備してありますので、いつでも自由に使える状態になっています。)
たとえば、わからない単語があった場合、「それは〇〇という意味だよ。」と答える代わりに、「辞書で調べてごらん。」となるべく応えるようにしています。正直なところ、教師にとっても生徒にとっても、教えてあげたほうがずっと楽なのです。特に慣れないうちは、辞書のどこに調べたい単語があるのかを見つけ出すだけでも大変なので、時間がかかります。一方、教師がその場で教えてあげる方法ならば、ほんの数秒で終わります。でもそこをぐっとこらえます。
なぜなら、人から聞いた情報は、頭の中をサーッと通り過ぎていくことが多いために、定着しづらい傾向があるからです。少し面倒であっても、辞書を引いたり、参考書を読んだり、自分であれこれ調べ考える時間を持つことで、英語が自分の血肉となって身についていき、それが結局は、英語習得への近道になります。
『自分から』という意識が欠如した状態のままで、ただ教えてもらっていても、物事はなかなか身につきません。
このようなことから、依存心を助長させ、自ら学ぶ力を阻んでしまうことにつながる、何でもかんでも与えてしまう指導を避けて、まずは自分で考え、行動する、それでも解決できないときには、「遠慮せずに何でも聞いてね。」という形の指導を大切にしています。
この『自ら学ぶ』姿勢は、小学生の頃はまだしも、中学生、高校生になり、受験を迎える時期には、さらに重要な要素になっていきます。
それは、中→高…と内容が難しくなるにつれて、学習しなければならない事柄もどんどん増えていくからです。そんな時に、自分から積極的に学習に取り組む意識と習慣がついていないと、どんどん後れを取ってしまいます。
自ら学ぶ姿勢は、試験の前に、あるいは、受験だからといって急に身につけようとしても、すぐに身につくものではなく、気長に少しずつ訓練していき、だんだんに習慣化されていくものだと思います。
そこで、こうした自ら学ぶ力を少しずつ身につけていってもらうための一つの手段として、当塾では、比較的早い時期から辞書学習を導入しているのです。
ところで、先程ご紹介した男の子ですが、授業で辞書を使い始めて数か月経った頃から、お家の人に買ってもらったであろう電子辞書を塾に持参して、私が声掛けをしなくても、自分からいろいろ調べるようになりました。(私からは、「辞書を買ったほうがいいよ。」というような誘導はしていないのですが。)これをきっかけに、中学校の英語学習にも一層がんばって取り組んでいってほしいと思います。